Caloo(カルー) - [特集記事] 【糖尿病最前線】薬局にて無料で受けられる糖尿病検査(糖尿病診断アクセス革命)
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糖尿病最前線

薬局にて無料で受けられる糖尿病検査「糖尿病診断アクセス革命」 東京大学医学部 × NPO法人ADMS × 足立区薬剤師会による共同研究事業

公開: 2010年10月12日

一部修正: 2014年06月18日

記者: 具志林太郎

現在薬局に置かれているHbA1c検査機器 現在薬局に置かれているHbA1c検査機器

2010年10月12日より開始した、薬局 という身近な場で無料にて 糖尿病 検査を提供するプロジェクト 糖尿病診断アクセス革命 が注目されている。

糖尿病は予備群の段階で検査を行い気付くことができれば、発症を免れることも十分に可能である。また、糖尿病検査も技術が進歩し容易になった。しかし、糖尿病は自覚症状が少ないため肝心の検査を行わず悪化させてしまう例が後を絶たない。

薬局 での無料糖尿病検査により潜在糖尿病患者、糖尿病予備群への医療機関への受診を促せるのではないかと期待が高まっている。

大量の自覚症状のない糖尿病発症者、糖尿病予備群に気付きを与える

現在、国内の糖尿病発症者は1,000万人近くになっていると考えられている。そのうち定期的に医療機関を受診している人数は250万人程度に過ぎない。実に750万人の糖尿病患者が治療をせずに過ごしていることになる。これに糖尿病予備群を加えると膨大な数となる。

これだけ多くの未治療者が発生している原因は糖尿病の自覚症状の少なさである。予備群ではほとんど自覚症状がないため検査を受けないで気付くことは困難。実際に発症してものどが渇く、夜中に何度もトイレにいく、疲れやすい、便秘、食べても痩せるなど体調の極端な不良に至るとは限らず、医療機関を受診しない人が多い。

薬局 という身近な場所で気軽に行える糖尿病検査はそういった人たちに自身の血糖状態を知らせることで医療機関への受診、治療へと繋がると期待されている。

簡単かつ安定した糖尿病検査、指先採血でのHbA1c測定

近年、指先の一滴の採血でその場で糖尿病検査を行える「指先 HbA1c 測定」が登場した。HbA1cによる糖尿病検査では、過去1-2ヶ月の平均的な血糖値を知ることができる。実際の血糖値は直前の食事などの影響を受け上下しやすいが、HbA1cでは血液中の糖分がヘモグロビンに結び付いた割合を調べるので安定した数値を調べることができる。

糖尿病診断アクセス革命ではこの「指先HbA1c測定」を導入することで、薬局内でその場で簡単に計れ、しかも安定した糖尿病チェックを行うことを実現している。

薬局内での糖尿病検査

現在、足立区内の9つの薬局で無料糖尿病検査が提供されている。検査を受けてみたい方は以下の薬局に直接行くことで受けることができる。

無料糖尿病検査を受けられる参加薬局 (プロジェクトサイト)

薬局インタビュー

あやせ薬局 長井薬剤師 あやせ薬局 長井薬剤師

あやせ薬局本店の長井薬剤師は「普段、健康診断を受けていない方にぜひ受けて頂きたい。特に主婦の方や自営業の方の中には定期的に健康診断を受けていない方が多い。採血をしてから結果が出るまで6分ほどかかるので、その間に買い物などに行って頂いて帰りにチェック結果を持って帰るのが理想」と語った。また同薬局の飯泉薬剤師は「自己採血を徹底して安全な糖尿病チェックを心がけたい」と述べた。

糖尿病とは?

糖尿病は、血液中に含まれる糖の濃度が高い状態が続く病気。血中の糖の濃度がある程度高くなると、尿の中にブドウ糖が漏れてくることがあるため、「糖尿病」と呼ばれている。

長期に渡り血中に糖の濃度が高くなると体中の微細な血管が少しずつ傷害される。その結果、特に眼の網膜、腎臓、神経が影響を受け、最悪の場合、失明、腎不全による人工透析、しびれや痛みなどを招く。

糖尿病には主に2つ種類がある。膵臓でインスリンが作られなくなってしまう1型糖尿病、遺伝、過食、運動不足などが原因で発生する2型糖尿病。日本人の糖尿病の大半は後者の2型糖尿病である。

糖尿病診断アクセス革命とは?

2010年10月現在、東京都足立区の9つの薬局で検査を受けることができる 2010年10月現在、東京都足立区の9つの薬局で検査を受けることができる

東京大学、NPO法人ADMS、足立区薬剤師会による共同研究事業として、足立区内の9つの薬局にて無料で「指先 HbA1c 測定」を行うもの。これまで糖尿病の検査を受けずにいた人々にHbA1c検査を促し(※糖尿病治療中の方を除く)、未発見の糖尿病や予備群の早期診断へつなげていこうという活動。東京大学大学院医学系研究科分子エネルギー代謝学講座 特任准教授である矢作直也氏が主導している。

HbA1cとは?

HbA1cとは、赤血球中のタンパクであるヘモグロビン(Hb)に糖分がどのくらい結合しているかを調べる検査。過去1-2ヶ月の平均的な血糖値の高さを知ることができる指標。血糖値そのものは時々刻々変化をし、一度の検査では全体像を捉えるのが意外に難しいのに比べ、HbA1c値は直前の食事の影響などを受けず、比較的容易に平均的な血糖値の高さがわかる。

正常範囲は概ね5.1%以下くらいで、厚生労働省の国民健康・栄養調査では5.6%以上を「糖尿病予備群」、6.1%以上を「糖尿病が強く疑われる」としている。

2010年7月1日施行の 日本糖尿病学会 の新・糖尿病診断基準で「糖尿病型」の判定に「HbA1c ≧ 6.1%」という項目が加わった。また、血糖値とHbA1c値がともに糖尿病型であれば、1回の検査で糖尿病と診断可能となった。

5.1%以下:正常値, 5.6%以上予備群, 6.1%以上危険

Calooで糖尿病の治療を受ける病院を調べるには

参考: 東京都内の入院を伴う「2型糖尿病」治療実績トップ10(DPC対象病院、2012年4月〜2013年3月退院分の集計)

順位病院名治療件数
1東京女子医科大学病院509件
2東京都済生会中央病院344件
3東京大学医学部附属病院334件
4順天堂大学医学部附属順天堂医院270件
5東京慈恵会医科大学附属病院265件
5昭和大学病院附属東病院265件
7東邦大学医療センター大森病院259件
8日本赤十字社医療センター236件
9東京医科歯科大学医学部附属病院230件
9東京都立多摩総合医療センター230件
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